ニキビの話

 昨年から“ニキビはお肌の病気だよ。”の合い言葉のもと、皮膚科でニキビ治療する方が増えてきているように感じます。

 ニキビは思春期に始まり、自然に治ることも多いのですが、20歳代・30歳代以降でも新たにニキビができることは珍しくありません。

 自然に治ることも多いニキビですが、ニキビの炎症が深部に進行していくと、皮下に根を張ったしこりとなり硬結と呼ばれる状態になります。また皮内に大きな袋ができる場合は嚢腫と呼ばれます。硬結や嚢腫になると、治療後に瘢痕(あばた)を残すことになります。瘢痕は一度できるとなかなか良い治療法がありません。早くから適正なコントロールをすることが、ニキビ対策の最大のポイントです。

 ニキビの発症には、皮脂・角化異常・ニキビ菌・炎症が相互に作用しています。治療には、レチノイド様外用剤、抗菌薬の内服・外用、ケミカルピーリング(保険適用外)などの処置法があります。特にレチノイド様外用剤は、ニキビの前段階を治療する薬で、 ニキビのコントロールに有望な治療薬です。

 日常生活の注意点としては、①ニキビをいじらないこと。②バランスのとれた食事。③便通を整えること。④睡眠を十分にとること。⑤頭髪や衣類によるニキビへの持続的な刺激を避けること。⑥毛包内の皮脂の流出をよくするために、ぬるま湯で石けんを使って洗顔すること。⑦リンスなどのヘアケア製品が、首・胸・背中に残らないように配慮することが大切です。

 最後に化粧についてですが、ポイントは2つあります。1つは毛孔(毛あな)を閉塞させないようにすること、もう1つは皮疹を目立たなくすることです。クリームタイプやリキッドタイプのファンデーションは塗る際にスポンジや手指でこするため、ニキビの悪化因子となる可能性があります。

 ニキビの方は、毛孔を閉塞させないためにも、 油分の配合が少ないパウダータイプのファンデーションがよいでしょう。
 皮疹を目立たなくするためには、色の干渉を利用して目立たなくする方法があります。例えば肌色のファンデーションをつける前にグリーンの下地クリームを使用するとニキビの赤みが相殺され褐色調になります。
 また炎症後色素沈着には黄色のファンデーションを使用すると褐色調が目立たなくなります。
 また頬紅・アイメイクやリップメイクなどのポイントメイクで視線を皮疹から他部位に移すという方法も効果的です。

 たかがニキビ、されどニキビ。ニキビのためにQOL(生活の質)が落ちることのないよう、上手にコントロールしましょう。  
太田皮膚科クリニック(安曇野市)
 太田 由子
お肌と健康