紫外線と皮膚

 日毎に陽射しの強くなるこの頃、紫外線が気になる季節になりました。そこで今回は、紫外線の皮膚に及ぼす影響とその対策についてお話しすることにいたします。

 紫外線とは、

 太陽の先には可視光線の他に目に見えない紫外線と赤外線が含まれています。図に示しますように、波長の短い方から紫外線、そして赤外線となっています。この紫外線もいろいろな理由により3つに分類されています。可視光線に近い方から順に、A波長紫外線(UV-A)、B波長紫外線(UV-B)、C波長紫外線(UV-C)、と呼ばれています。このうち最も波長の短いUV-Cは大気圏中のオゾン層で吸収されて地上には到達しません。そこで問題になるのはUV-AとUV-Bということになります。

 急性障害

 まずは日焼けです。皮膚のタイプによって違いはありますが、紅くなってやがて色素沈着を起こすものです。軽いものは日常的に経験するところですが、海水浴などで急に広範囲に長時間紫外線にさらされますと、これは大変なことです。痛みを伴う紅み、水疱、ただれが現れ、脱水症など全身症状を伴うことにもなります。次に局所免疫能です。口唇や口の周りに再発性の単純疱疹の出る方は要注意です。局所の免疫低下により単純疱疹が発生しやすくなります。

 慢性障害

 長年、日光にさらされていますと、シミやしわ、そして老人性疣贅が現れてきます。更には前癌状態を経て悪性腫瘍を発生することもあります。これらは加齢とともに多くなりますので老化現象ととらえられがちですが、光老化と言われるように、実は紫外線によるものです。つまりこれらは予防すれば防ぎ得るものなのです。

 紫外線防御対策

 日本で紫外線の一番多い都市はどこだと思いますか?実は松本なのです。沖縄の那覇よりも、九州の宮崎よりもです。標高が高いこと、日照時間が長いこと、それから空気が澄んでいることによるからです。季節別にみますと4月から9月までが紫外線は多く、一日のうちでは10時から14時が強いと言われています。また曇りの日も80%は紫外線を通しています。

 そこで対策です。まずは紫外線の強いときは外に出ないこと。もちろん外に出なくてはならない場合はいっぱいありますよね。その時は帽子、日傘そして日焼け止めクリームを使いこなしましょう。日焼け止めクリームには吸収剤と散乱剤の2種類があります。吸収剤といわれている方に化学物質が含まれていますので、時にかぶれを起こすことがあります。アトピー性皮膚炎やかぶれやすい体質の方は散乱剤を選ぶのがよいでしょう。ちなみにガラスはと言いますと、UV-Aは通しますが、より皮膚に影響の強いUV-Bはカットしますので車に乗るときは窓を閉めておくのがよいでしょう。

 紫外線についてお話ししましたが、もうすでに慢性障害が出てしまっているという方、中には悪性腫瘍が混っていないとも限りません。お気軽に専門医にご相談下さい。しわはちょっとむずかしいのですが、シミも良性の腫瘍も消すことはできます。

二條 貞子
二條皮ふ科クリニック (2008/3)

お肌と健康